阿波座図書館・西野田図書館(1921.6.20)
御蔵跡図書館・清水谷図書館(1921.10.1)
大阪市立図書館は、1921(大正10)年6月20日に開館した阿波座図書館(西区)・西野田図書館(北区)がその最初で、続いて同年10月1日に御蔵跡図書館(南区)、清水谷図書館(東区)が開館しました。1904(明治37)年に開館した大阪府立図書館の分館計画を引き継ぎ、当時の東西南北・全4区に1館ずつ設置されました。
大阪府内の公立図書館では、1916(大正5)年に堺市立図書館が開館しており、創設時期としては大阪市は決して早くはありませんでした。しかし、最初から各区に1館、4つの図書館を一度に開設するという構想は画期的なことでした。
またこの4館はいずれも公園に隣接して建てられました。当時の大阪市には明治期に開園した中之島・天王寺の2大公園に加え、1917(大正6)年から翌年にかけて大正天皇即位の御大礼記念事業で新たに7つの小公園が設置されたところでした。そのうちの阿波座小公園(西区)・西野田小公園(北区)・清水谷小公園(東区)・御蔵跡小公園(南区)に隣接して図書館が建設されたのです。この公園付近に図書館を設置するという考え方は欧米先進諸国の例にならったもので、全国的にみても珍しいことでした。
当時は閲覧料を徴収したり、館外への貸出サービスを行わない図書館もありましたが、大阪市の図書館は創立当初から、数え年7歳以上であれば誰でも無料で利用することができ、館外貸出も積極的に行われました。4館の蔵書総数は約1万4千冊、貸出期間は2冊・10日間(児童は1冊・6日間)でした。
阿波座図書館・西野田図書館(『大阪市立図書館一覧』1926 より)御蔵跡図書館・清水谷図書館(『大阪市立図書館一覧』1926 より)