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自動車文庫


自動車文庫の誕生


大阪市の自動車文庫は、1965(昭和40)年6月から開始された天王寺図書館の団体貸出が母体になっています。

団体貸出の利用グループを中心に、1966(昭和41)年11月1日に天王寺図書館友の会が結成されました。友の会から最初に持ち上がった要望が、「専用自動車による配本の実施」であり、1967(昭和42)年度の予算に自動車による配本の費用が計上されました。図書館では、市民の熱意により予算計上にいたったことから、より市民から喜んでもらえる方法を採用することにしました。

「運送業者から荷台の低い貨物自動車を借上げ、図書はダンボール箱に背文字が上になるように入れて自動車の荷台に積み、利用者は自動車に積んだまま、自由に選択する」方法です。

1967(昭和42)年10月5日、業者委託による第1回の配本が実現しました。大阪市立図書館における自動車文庫事業は、この日からスタートしたのです。

貨物トラックによる自動車文庫
貨物トラックによる自動車文庫

専用小型自動車の自動車文庫
専用小型自動車の自動車文庫

旧天王寺図書館とまちかど号
旧天王寺図書館とまちかど号
 

現在のまちかど号


1967(昭和42)年に2t積貨物トラックによりスタートした自動車文庫はその後、1968(昭和43)年1月から専用車(小型自動車・外装書架・850冊積載)により月6日の運行を開始、8月からは月15日68ステーションを巡回することになりました。

さらなる利用者の増加による巡回希望に応じるため、積載冊数を大幅にアップした新しい自動車文庫車が導入されました。
 1971(昭和46)年7月2日、新しい自動車文庫「まちかど」号の命名式が盛大に行われ、大阪市の自動車文庫事業が再出発しました。

現在、自動車文庫は、まちかど1号とまちかど2号の2台の車で、市内の106箇所のステーションを1ヶ月に1回巡回し、本の貸出を行っています。

現自動車文庫まちかど1号
現自動車文庫まちかど1号
 

番外編「露天文庫」


図書館が館外に進出した読書普及事業の一つに、露天文庫(のち屋外文庫)があります。開館後まもなく市内の社寺境内を借用して開設し、大正時代の終わりごろまで続きました。市民の「寸暇を利用して、露天で随意に書物を読み得るよう」にという発想にもとづくものです。

きわめて小規模な簡易設備であり、開設された期間も短かいものでしたが、日本で最初の試みであり、市民への読書普及の一翼をになっていたのです。 

「大阪市立図書館月報・大正12年2月号」より
屋外文庫 一月二四日より北区福島天満宮境内へ屋外文庫といふを新設せり。右は従来の露天文庫を運搬に便なる構造に改め、且天幕内にて腰掛けながら読書し得るやうに仕組みたるもの、即ち書函を載せたる机二脚を並べ、両側に腰掛を置きて大人八人、子供ならば十人は着席し得べく、備付図書四十八冊は露天文庫と同じく鎖にて繋ぎ、之に天幕を張りたる一種のChained Libraryなりとす(原文のまま)

大阪天満宮
【参考】絵葉書「(大阪名所)天満宮」1921