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大阪市史編纂所
 

古文書の整理と調査

 大阪市史編纂所はさまざまな業務をしていますが、その中でも市民のみなさんが所蔵されている貴重な古文書(こもんじょ)の調査と整理は重要な仕事です。ここでは、古文書がどのように整理されるかをご紹介します。大阪市史編纂所では古文書類をおおよそ以下のような手順で整理させていただいております。


「うちには古文書なんてない」?


 古文書はもちろん理由があって、保存されてきたのですが、歴史がうつり、政治や社会がおおきくかわると、日常生活では必要でなくなってきました。

 そのためホコリをかぶって、一見するとゴミにしかみえなくなっていることもあります。でも、ちょっと待ってください。これらは地域のあゆみをつたえる貴重な財産です。
 おうちで古そうな文書などを見つけられたら、きたならしいからというだけで捨ててしまわずに、大阪市史編纂所までぜひご一報ください。調査にうかがいます。


古文書破損文書













古文書を拝見


古文書の調査 おうかがいして、古文書などがどのような状況で保存されているかについて確認させていただきます。
その時にわかる概要をお伝えしたうえで、ご所蔵者のご了解がいただければお預かりし、編纂所内で整理や調査をさせていただくこととなります。

 大量の古文書をお預かりした場合、調査に何年もかかることもありますが、さまざまな理由から、現地での簡単な調査にとどまることもあります。



お預かりした古文書はどうなるのでしょう?
  1. 保存していくために
  2. 目録の作成
  3. 撮影
  4. 調査・整理の完了
 

保存していくために

 お預かりしている間に、古文書が虫に食べられてしまわないように(水や火などと同じように古文書にとって虫は大敵です)、特殊なガスを用いて、殺虫・防虫の処理を行うこともあります。これを燻蒸(くんじょう)といいます。ちなみに市立中央図書館の貴重書庫は年1回、書庫ごと燻蒸を行っています。通常の保管には衣料用の防虫剤を使っています。

 また、紙が酸化してボロボロにならないように、特別な箱を用いるようにしています。
 

目録の作成

 お借りした史料は、くずし字を読みながら1点ごとに内容を記録して目録をつくります。

市史編纂所では
  • 文書に書かれてある内容
  • 誰から誰に出された文書か
  • どのような形の文書か
  • いつごろ書かれた文書か
  • 何か関連する文書と一緒に保存されていたか
などの情報について記録しています。

 目録はあとでどのような資料があるかを探すための手がかりになるものですから、各段階で正確な内容が記されているかチェックをするようにしています。
 

撮影

古文書の撮影 目録作成後、史料の撮影を行います。
 かつてはマイクロフィルムなどでの撮影が行われていました。市史編纂所で使っていたマイクロフィルムはモノクロ16mmで、1リール(30m)で1300カット程度の撮影が可能です。保管条件次第で半永久的な保存が可能だとされています。しかしマイクロフィルムの撮影は非常に手間と時間がかかる上、フィルムメーカーでの生産が終了されるなど、今日では撮影方法としてはあまり使われなくなってきています。

 代わって主流になってきたのが、デジタルカメラによる撮影です。デジタルカメラの画素数の増加や保存媒体の容量の増大などにより、手軽に史料の撮影が可能となる条件が揃ったことにより主流となってきました。デジタルカメラと三脚との組み合わせにより、短時間で大量の史料を撮影する手法も確立されており(参考:宮城歴史資料保全ネットワーク・古文書撮影マニュアル)、今後ますますデジタルカメラの使用法が重要になってくると思われます。

 撮影させていただいた写真は、市史編纂関連事業に活用させていただいております。
 

調査・整理の完了

 撮影が終了すると、調査は完了し所蔵者のかたにお返しに伺います。
 所蔵者のかたの意向をうかがいながら、公開して市民の学習や研究にいかす方法などを相談したり、史料を寄託・寄贈していただくこともあります。
 

詳しくは

 編纂所での調査の模様について詳しくお知りになりたい方は、大阪市史編纂所・大阪市史料調査会編『大阪市史編集の100年』(創元社、2002年、とくに第2章)をご覧ください。