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「大阪市ICT戦略」に沿った図書館の今後のあり方

平成29年6月1日

 大阪市立図書館は、中央館、23館の地域館、自動車文庫を情報・物流のネットワークで結び、「いつでも、どこでも、だれもが課題解決に必要な情報にアクセス可能な“知識創造型図書館”」を基盤とし、400万冊の蔵書と電子書籍、商用データベース、音楽配信サービスといった電子図書館機能を活用し、スケールメリットを生かしながら、効果的効率的なサービス提供に取り組んでいます。

「大阪市ICT戦略」に沿った図書館の取り組み
 大阪市では、平成28年3月に「大阪市ICT戦略」が策定されました。最先端ICT都市の実現に向け「ICTの徹底活用」、「ICTの適正利用」を基本に取り組みを進めています。
 図書館におきましても、「大阪市ICT戦略」の「ICTの徹底活用」の5つの柱、「ICTの適正利用」の2つの柱、また、「大阪市ICT戦略アクションプラン」(平成28年3月31日策定)に沿った取り組みを進めていきます。
 また、図書館ホームページ等を活用し、広く図書館の取り組み内容をお知らせします。


1.「ICTの徹底活用」 5つの柱

(1)情報インフラの活用(Wi-Fi、IoT等)

 市民にとって身近な通信環境となりつつある公衆無線LAN(Wi-Fi)機能を活用した情報収集の利便性向上を図るとともに、国際的シティプロモーションの観点からも観光客の受入環境整備として、大阪市立図書館(全24館)に公衆無線LAN(Wi-Fi)を設置します。
(「大阪市ICT戦略」「大阪市ICT戦略アクションプラン」では「(4)施策における徹底活用」の項目に記載あり)

(2)積極的なデータ活用の推進(オープンデータ、ビッグデータ)

 「大阪市オープンデータの取り組みに関する指針」(平成27年1月22日総務局策定、業務移管にともないICT戦略室28年4月1日策定)を受け、「大阪市情報公開条例」で定める「非公開情報」を含まないデータとして、大阪市立図書館の利用統計・蔵書統計や、デジタルアーカイブで公開している著作権が消滅したデジタル画像情報(重要文化財「間重富・間家関係文書」の画像を含む)等のオープンデータ化を行い、大阪市オープンデータポータルサイトに情報を提供します。
 活力と魅力ある大阪の実現に資するため、他機関とも連携し、オープンデータ化したデジタルアーカイブ画像について対象の拡充、メタデータの豊富化を図ります。ビジネスの活性化をも視野に入れた利活用推進等に取り組むとともに、デジタル画像情報のメタデータセット、図書リスト等のオープンデータ化について検討を進めます。

(3)最新情報環境への適切な対応(モバイル・ファースト)

 大阪市立図書館蔵書検索モバイル版の利用促進を図ります。また、平成29年1月にリニューアルした大阪市ホームページを参考にして、機種更新に向けホームページ全体のモバイルファースト対応の検討を進めます。

(4)施策における徹底活用

  • 教育ICT
     「図書館でのインターネット利用環境に関するアンケート」で肯定的意見が70%以上であった市立図書館への公衆無線LAN(Wi-Fi)設置について、市民の利便性向上のため、平成28年度中に大阪市立図書館全館(24館)に設置を拡大します。また、設置後には、利用状況の調査を行います。
     ICTの発達により膨大な情報があふれ複雑化する社会において、子どもたちが課題や目的に応じて、情報を主体的に収集し、課題解決につなげる能力と、生涯を通じて学び続けようとする習慣を身につけることを支援するために、図書館では以下の取り組みを進めます。
    • 図書館において、商用データベースや電子書籍、音楽配信サービス等の電子図書館機能の先進的な取り組みを進めるとともに、自宅からも図書館サービスを利用できる電子書籍やデジタルアーカイブ、音楽配信等、誰もが自発的に学びの機会を得ることができるような取り組みを進めます。また、商用データベース等の信頼性のある情報源を有効に利用することができるように、教員向けの電子図書館機能の活用講座の開催や、図書館見学・職業体験時など子どもたちが電子図書館機能等を体験する機会を通じて情報リテラシーの向上を図ります。
    • 子どもが本と出会うきっかけづくりや読書習慣の定着のために、図書館への来館をうながす取り組みのひとつとして、図書館システムを利用し、来館、貸出、クイズ参加毎に、図書館カードにポイントがたまる「としょかんポイント」を実施します。
    • 図書館ホームページの「こどものページ」や「ティーンズのページ」での、親しみやすいクイズ等を活用した図書館案内や、ティーンズをターゲットにしぼったおすすめ本の情報提供、「書評漫才グランプリ in OSAKA」の動画の公開等を行います。また、TwitterやFacebook等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した児童生徒に向けた情報発信を行います。
    • 児童生徒が大阪の歴史や文化を調べるのに役立つブックリストをホームページで公開したり、デジタルアーカイブ画像や図書館の郷土資料、商用データベース等を使って回答する大阪の歴史に関するクイズの実施、電子書籍サービスで提供している英文の児童書の紹介等、アクティブ・ラーニングの視点に沿って、学校における各教科の学習の中で活用できる情報を積極的に発信します。
    • 学習障がいの子どもたち、「読み」に困難がある子どもたちへの支援ツールとして、文章や画像を音声とリンクさせて表示するデジタル図書であるマルチメディアデイジー図書の提供を進めるとともに、読書体験会や製作講習会等を開催し、デイジー図書の普及を支援します。
    • 学校との一層の連携・協力を進めるため、図書館ホームページ「大阪市内の学校支援のページ」においても、学校向けサービスやサポート(図書の団体貸出、おはなし会、図書館見学、読みきかせや調べ学習の資料リストの提供等)についての情報発信を行います。
    • 「大阪市学校図書館活用推進事業のページ」では、学校図書館や読書活動の充実に向けた取り組みについて情報発信を行います。

  • 防災
     大阪で過去に発生した台風・津波・地震・火災等の災害について、図書館の郷土資料、過去の災害の写真等デジタルアーカイブ画像等を活用した情報発信や、災害等発生時の館内放送内容に、外国人や、障がいのある人、子どもたち、高齢者にも、わかりやすい「やさしいにほんご」を取り入れた「災害時館内放送ページ」の開設(平成28年12月)等、市民に身近な施設である図書館から市民の防災・減災意識の向上を図ります。
     また、災害発生に備え、図書館ホームページ「震災関連ページ」の改訂やSNSの活用などにより震災に関連する情報を収集・保存・発信し、地域の情報拠点として、学校、区役所等の地域施設、団体等多様なセクターの防災・減災への取り組みを支援します。

  • 市民協働の促進
     平成26年度に、子ども読書活動等に関わる人材のネットワークづくりを支援するため、市民ボランティア協働ポータルを開設し、大阪市立図書館を拠点として活動しているボランティアグループの活動内容等の情報発信を行ってきました。また28年度には、登録ボランティアのログイン機能を追加しました。今後、ボランティアとして活動中の方に向けた講座情報等の情報の発信を充実させていきます。
     デジタルアーカイブ画像について、オープンデータ関連イベントで題材として利用していただく等の機会を通して、オープンデータの利用者の意見を取り入れ、今後の利活用推進の取り組み、メタデータの公開、API (Application Programming Interface)の提供、機種更新時のデジタルアーカイブのリニューアルに向けた検討を進めます。
     地域のARTS(文化芸術)について調べ、インターネット上の百科事典「Wikipedia」(ウィキペディア)の記事をまとめ、情報を提供する「Wikipedia ARTS」、地域に暮らす様々な年代の市民が、地域の文化財や歴史的ランドマーク、観光名所等の情報を調べ、「Wikipedia」に掲載するワークショップ型のイベントである「Wikipedia Town」等の取り組みを支援します。


(5)効果的・効率的な行政運営

  • 行政事務の改善
     大阪市立図書館全24館は地域の多種多様な課題解決に向けた情報収集・学習拠点として、学校をはじめとして、図書館の所蔵資料に加え、各種商用データベース(新聞記事・雑誌記事論文検索等)等の電子図書館機能の各課題への活用事例紹介、職員向け情報収集・活用講座の実施等により、区役所等地域施設、団体等多様なセクターを支援します。
     デジタルアーカイブ画像のオープンデータ化に伴い、資料の翻刻等許可事務のうち、市民の申請手続きが不要となるデジタルアーカイブ画像利用分について業務の省力化を図ります。

2.ICTの適正利用 2つの柱

(1)ICT経費の抑制

 機種更新時のコスト削減に向け、システム構成の見直し等の検討を進めます。

(2)システムの安全性・信頼性の向上

 研修・標的型攻撃メール訓練の実施等を通して、職員個々のセキュリティ意識の向上を図るとともに、運用中、また機種更新後のシステムについて、セキュリティ強化の検討を進め、利用者情報の保護に努めます。
 
 *PDF形式のファイルの閲覧は「PDF形式のファイルについて」をご覧ください。

「CC-BY」ライセンス画像CC(クリエイティブコモンズ)ライセンスにおけるCC-BY4.0で提供いたします。大阪市立図書館オープンデータの取り扱いについては、オープンデータについてページをご覧ください。
 
 なお、本「『大阪市ICT戦略』に沿った図書館の今後のあり方」の策定にあたって、平成29年3月3日に下記の外部有識者からご意見をいただきました。
岡本 真 氏 総務省地域情報化アドバイザー
松井 純子氏 大阪芸術大学教授
村岡 益子氏 全国学校図書館協議会スーパーバイザー、京都橘大学講師
 

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